少し前のことだが、JICA横浜の研修の一環で私の勤めていた幼稚園に各国の教育省の幼稚園担当者や幼稚園の先生が視察に来たので同行させていただきました。
私の勤めていた幼稚園は30年前から当時珍しかったリソースルームを早々と設置し、どの子も過ごしやすい幼稚園づくりを目指してきました。
当日は秋の作品展に向けて年中組、年長組は話し合い活動の真っ最中。毎年、動物園づくりをテーマに年中組は大型動物を、年長組は動物園をグループ活動を通して制作していきます。どの動物を作るか、何で、どうやって作るかなどをグループごとに話し合い、クラス全体で共有しながら進めていく活動です。取り掛かる期間は約3週間ほど。子どもたちは意見を言ったり、友だちの話に耳傾けたり、時に譲れない場面で泣いたり、怒ったり。いろんな感情を言葉にしながら進めていく。そんな1日を観察していただきました。
各国によって幼稚園で目指すものや方針など、いわゆる保育観の違いはあるものの、この「話し合い活動」は新鮮であったよう。この幼稚園がなぜ「話し合い活動」をしているのか、それが目指すものについて園長から説明がありました。
私も担任した経験があるのでよくわかるのですが、正直教員が動物を決めたり、どうやって作成していくかなども大人が教えれば簡単に子どもたちも取り組め、大人は楽。話し合いで、なかなか動物が決まらなかったり、どの素材で作るかで1日が終わるグループがいると、作品展の日が迫る中で気持ちの焦りもあり、なかなか担任だと気を揉むことになります。
それでも、あえて、そういうことをさせる意味を改めて聞くと、この幼児期に欠かせない育ちの要素が全て詰まっているような気がしました。喜怒哀楽の感情をとことん出し、表現することや、人との関わり合いの中でそれを伝えたり、聞いたり、やり取りしながら色々な考えがあること、色々な感情があることを知っていく。
いろんな子がいて、いろんな考えがある中で、自分と他者との違いに気付いたり、自分の素敵なところを一つでも見つけていけますように、、、そんな先生たちの思いやこの活動が目指すものが伝わり各国の担当者からは拍手喝采でした。
「国に帰ったら、すぐこの話し合い活動をカリキュラムに入れます!」といったアフリカ圏の先生が印象的でした。
オンライン上やり取りが多くなった今日。さらにコロナ禍でますます身の回りの生活で顔を合わせなくても良い生活が当たり前になりつつあります。長女もコロナ禍真っ只中のベビーで、先生は皆マスクをしているものだと思っていて、マスクに憧れまで抱くようになっています。オンラインでさまざまな人と出会えたり、遠方まで行かなくても学びたい事やできることも増え、本当に便利な世の中ではありますが、せめて子どもたちには顔と顔を突き合わせ、泣いたり笑ったりできるような環境で存分に過ごしてほしいと思う今日この頃。
生活していると、どうしても大人の決めたことに子どもを当てはめがちである。何時には起きるよ、これを着てね、お味噌汁だけは飲んでね、靴は左右対称にちゃんと履くよ、今日は〇〇に行くよ、、、、。どれだけ子どもに決定権を委ねだねられているだろうか。生活の全てを委ねたら1日がめちゃくちゃになるかもしれないが、どの服を着る?何を食べる?今日は何したい?のなかのどれか一つくらいは聞けるだろうか。
家庭は子どもの一番最初の集団である。話し合い活動の基礎ともなる日々の会話。子どもに決定権を委ねること、余裕がある時だけでも始めていきたいと思いました。
